11月20日から、「新世代アーティスト展 安藤美香」が始まりました!!
「新世代アーティスト展」は、国内外で活躍の幅を広げている新進気鋭の若手アーティスト3人を連続してご紹介する展示です。 第3弾は、水墨画家の安藤美香さんの作品を展示します。
安藤さんは、中国芸術研究院で学び、日本人で初めて水墨画の博士号を取られた方です! 水墨画というと、モノトーンの世界を思い浮かべますが、安藤さんの水墨画は鮮やかな色に満ちています!
安藤さんの作品には、水墨画らしいダイナミックな筆さばきを感じられる‘写意画(しゃいが)’と、日本画に通じるような緻密な‘工筆画(こうひつが)’の2種類があります。
写意画は、描くモチーフやその場の雰囲気を感じたままに一気に描く技法です。日本では、禅の精神世界を表す禅画や、江戸時代の文人画などの水墨画として定着したそうです。
連作《版納(バンナ)印象》は、安藤さんが2013年に中国雲南省のシーサンバンナ自治区に滞在して描いた作品で、芭蕉やブーゲンビリアなど、いろいろな熱帯植物が描かれています!
今回展示したのはなんと15点!! 迫力ある墨の筆づかいや、ところどころに鮮やかな色がちりばめられた作品たちに囲まれていると、まるで熱帯の森にいるような気分になりますよ☆
特にこの連作でぱっと目を引くのは、鮮やかな赤です!!ピンクっぽい赤や、オレンジがかった赤など、微妙に違う色みの赤が楽しめますよ!他にも、緑や黄色、青なども使われていて、墨と混じってすごくきれいな色合いになっています✧
工筆画の中でも特に目を引くのが、《百合図屏風》です!
大きな掛軸に仕立てられたこの絵は、百合の花が描かれた屏風を描いたものです。絵の中にまた絵がある、という感じですね!
百合の花びらがところどころ透けているように描かれていたり、きれいな鳥がいたり、と見どころはたくさんありますが、なんと屏風のなかに描かれているはずの百合の花から、花びらが屏風の外に落ちています!! なんてステキな演出でしょう!!
この《春宵桜花図(はるよいおうかず)》という3部作も、背景の緑色や、透明に見える桜の花びらがとっても美しいです!
これらの工筆画は、絹地に描かれていて、すごくやわらかそうな質感があります! 色も鮮やかでキレイですが、線も細かくて、見ていると気持ちがきりっと引き締まるようです!!
それから、大きな金屏風も展示させていただきました!!ピンクのラナンキュラスの花が金色の地に映えて、とっても迫力がありますよ!!
水墨画というと、日本では何となく昔のもの、といったイメージですが、中国では「現代水墨画」というジャンルがあり、新しい表現に挑戦する作家さんたちがたくさんいるのだとか!安藤さんも、伝統的な水墨画の手法を用いながらも、それにとらわれない斬新な作品を次々に発表されています!!
安藤さんが中国で学んだのは、中国から日本に水墨画が伝わる以前の技法とのことです。 中国では、写意画も工筆画も900年代には描かれていたそうで、そんなに昔の絵画が現在にも引き継がれているなんて、すごくロマンがありますね!!
これから寒くなる時期ですが、皆さんもぜひ、鮮やかな花たちを見て、気持ちだけでも暖かくなっていただけたら...と思います!!